ワンポイント
2024.10.10
< 脊椎分離症・すべり症・分離すべり症の違い >
◆◇脊椎分離症
椎弓を構成する上下関節突起の間にある関節突起間部連続性が断たれた状態
・成長期(特に 10 代、小中学生)のスポーツ障害によるものが多い
・部活動での腰椎伸展(腰を後ろに反る動き)ストレスが繰り返されたことによる、関節突起間部の疲労骨折と考えられている
▶▶分離部の融合能力の有無の判定にMRIが有用 → 受傷後間もなければ骨癒合期待できる!
治療))
青少年の場合、初期であれば、スポーツ活動を中止して硬性コルセットを 3〜6 ヶ月着用
急性期を過ぎて骨癒合が期待できない場合はスポーツを禁止する必要はない
→環境に応じて薬物療法やブロック療法を行い、スポーツ活動に参加可能
◆◇脊椎すべり症
上にある椎体が、隣接する下の椎体に対して前にズレた状態の総称
① 形成不全性脊椎すべり症
②脊椎分離すべり症
③変性脊椎分離すべり症
④外傷性脊椎すべり症(外傷が原因)
⑤病的脊椎すべり症(悪性腫瘍) に大別される
① 形成不全性脊椎すべり症
・先天性形成不全により第 5 腰椎すべりが生じたもの
治療))
脊椎固定術が必要となることが多い
② 脊椎分離すべり症
・第 5 腰椎に多い
・背骨側に棘突起間の段差がみられる(階段状変形)
症状))
腰を前に倒す動きで腰がズレるような不安感や張った感じの腰痛を自覚
臀部から大腿後面に重圧感を感じることもある
分離は関節突起間部にあり、ちょうどその前を神経が通っている
→骨棘ができると神経根を圧迫し、片側または両側の下肢痛を生じ、神経根性間欠性跛行を呈することがある。
椎弓は後方に残っているので馬尾障害(馬尾神経の圧迫によって生じる神経症状)は生じにくい
治療))
分離部や神経根への動的刺激を抑えるために軟性コルセット着用と生活指導が基本
保存療法の無効や麻痺がある場合には脊椎固定術を選択することが多い
③ 変性脊椎すべり症
・椎弓の分離がなく、変性の進行とともに椎体が前方にすべっている状態
・50 歳以上の女性、第 4 腰椎に多い
・腰部脊柱管狭窄症の代表的な原因疾患の一つ
症状))
腰痛が主訴。罹病期間も長い
動作時に腰痛を自覚し、安静時に軽快
狭窄症を伴えば、間欠性跛行(歩くと足に痛みやしびれが出現し、休むと緩和する症状)を訴えるようになる
椎体のズレが大きいと、馬尾性間欠性跛行(痛みは少なく、両下肢・臀部・会陰部のしびれや灼熱感やほてり、下肢の脱力感)を呈する頻度が高い
膀胱直腸障害(排尿・排便しにくい、失禁してしまう等)を生じることもある
治療))
保存療法としてコルセット着用、日常生活動作の指導、体操、投薬が主体
気になることがあれば、お気軽にスタッフまでお声掛け下さい!
阪田・河野